臭気判定士資格を持つメーカー研究者の技術レポート

においの質が濃度で変わる化合物一覧~臭気判定士が語るにおいのはなし~

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皆さんが無意識に吸っているにおいの成分。これらの成分は濃度が変わるとにおいの質が大きく変わることがあります。例えば芳香剤を同じ場所で大量に使って気持ち悪く感じたことがありませんか?

以下に化合物濃度によって臭気質が変わる成分のリストを示します。β-フェニルエチルアルコール以外は、臭気質が濃度によって変わることが報告されています。​

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特にインドールは香水にもよく使われていますが、濃度が濃くなると糞のにおいになります

☆濃度によって臭気質が変わる化合物

におい物質名低濃度高濃度
硫化水素ゆで卵様刺激強い温泉場臭
ジメチルジスルフィド野菜のクッキング香海苔の佃煮様で刺激強い臭気
ヨノンすみれの花様木の香り
10-ウンデセナールバラの花様脂肪様のにおい
インドール白い花想起の香り糞臭
デカナールオレンジの花様油臭
フルフリルメルカプタン炒ったナッツの香りスカンク臭
スカトール清涼感のある香りスカンク臭
β-フェニルエチルアルコールバラの花様バラの花様

においの質が変わった時には、分析によってにおい成分の定性を行い、その化合物の試薬を購入して臭気質を確かめることがありますが、臭気質が一致しないケースがあります。その時は臭気の濃度を再現していないことが一致しない原因の可能性があります。他の理由として、複合臭も関与していることもあるでしょう。

もし皆さんがにおいの課題を考える際には、化合物だけでなく、化合物の濃度にも気をかけていただければ幸いです。​​
                                     

出典// 嗅覚概論 においの評価の基礎 p34, 川瀬(2011)はじめての脱臭技術 東京電機大学出版局


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