臭気判定士資格を持つメーカー研究者の技術レポート

悪臭測定概論~最短で合格するための臭気判定士試験勉強シリーズ~ 【過去問解説あり】

臭気判定士試験で三つ目の単元は悪臭測定概論です。悪臭測定概論の出題数は令和元年は8題です。合格のためには最低限、3題は正答する必要があります。この単元はにおい成分や分析装置に関する基礎知識が必要な分野です過去問にも触れながら一緒に勉強していきましょう。

なお、この前の単元の勉強シリーズは以下よりご確認下さい。

嗅覚概論 ~最短で合格するための臭気判定士試験勉強シリーズ~

悪臭防止行政 ~最短で合格するための臭気判定士試験勉強シリーズ~

悪臭測定概論の参考図書

悪臭測定概論を勉強するにあたって必要な参考図書は「臭気の嗅覚測定法」です。以下にリンクを提示します。購入する際はにおいかおり環境協会様からの購入がベストです。

臭気の嗅覚測定法 においかおり環境学会サイトへ

悪臭測定概論における勉強法

悪臭測定概論は大きく分けて計算問題と暗記問題の二種に分かれます。

暗記問題については化合物や言葉の定義など、多くの課題が含まれます。先ずは過去問を見て傾向を掴んでください。

計算問題は同じようなパターンしか問題として出題されません。そのため、過去問を5年分解き、解き方を記憶しておくのが一番効率的です。

ポイント

暗記問題は過去問を見て傾向を掴み、その後テキストを読み込む。

計算問題は過去問を5年分解き、解き方を記憶しておく

過去問解説(令和元年度試験 問17 におい化合物の性質) 

ここからは過去問を使いながら勉強の仕方を見ていきましょう。

先ずは令和元年度の問題からいってみましょう。一度以下の問題について解いてみてください。

令和元年度 臭気判定士試験、悪臭測定概論 問17

早速答えですが、答えは【2】です。何が違うかというと、水に極めて難溶であるという部分です。

アセトアルデヒドは低分子の化合物でありかつアルデヒド基という官能基を持つため、水には良く溶けます。

さて、ここで過去問の検証を終えてしまったら本当にもったいないです。残りの1、3、4、5についても見ていきましょう。私の覚え方も併せて記載しています。

過去問の見直し(問17)

アンモニアは分子量が17で水より小さいため空気より軽く、極性が高いため水に良く溶ける。

トルエンは塗料などに使用されるため常温で液体であり、化学構造に酸素、窒素を含まないため水には難溶である。

硫化水素は硫黄の元素を持つため空気より重い気体で、化学構造に炭素を含まないため水には良く溶ける。

ノルマル酪酸はカルボン酸という官能基を有する化合物で、臭気判定士の試験にでてくるカルボン酸を有する化合物は常温で液体で、水に良く溶ける。

このように過去問の情報は間違っている箇所だけでなく、合っている箇所も情報がいっぱいです。この勉強をしておくと以下の平成30年度の問題も簡単に溶けるのではないでしょうか。

A アンモニアは水に溶けやすいですが、分子量が小さいため、常温・常圧では気体です。

Bトルエンは水に溶けにくいですが、塗料に使用されているため、常温・常圧では液体です。

Cプロピオン酸は記載の通りです。

つまり、正解は【7】ということになります。

この短い期間でも同じような問題がでていることから、過去問を勉強しておく意味をご理解いただけるかと思います。

過去問解説(平成30年度試験 問25 臭気濃度と臭気強度の考え方)

続いて臭気濃度や臭気強度について問題になっている過去問について解説していきます。先ずは以下の問題について解いてみてください。

一つずつ解説をしていこうと思います。

1、臭気強度の低減率はそれぞれの化合物の●と△の傾きを確認すればわかります。傾きが急な方が臭気強度の低減率は大きいということです。つまり、プロピオン酸の方が大きいため、この選択肢は正しい記述です。

2、認知閾値は臭気強度2の時の濃度を示しています。△の位置を確認するとちょうど0.01の位置にあるため、この選択肢は正しい記述です。ちなみに、検知閾値という質問の場合は臭気強度1の場所を確認してください。

3、臭気指数は臭気強度の数値に10を掛けた値です。硫化メチル1ppmの時の臭気強度は4のため、つまり臭気指数は40であり、この選択肢は正しい記述です。

4、臭気強度0というのはにおいがしない濃度を示しており、その濃度は非常に判別が難しいです。プロピオン酸の傾きを仮に0点の方に伸ばすと0.004ppmになるかもしれませんが、においがしない濃度はそもそも予測できませんので、この記述は間違いです。

5、「物質濃度の対数と直線関係」というのはそれぞれの点を繋いだ時にまっすぐの線になっているかどうかという視点で見ればよいかと思います。それぞれのマークを線でつないでみると直線になると思いますので、この選択肢は正しい記述です。

いかがでしたでしょうか。この問題は色んなポイントを含んでいる非常に良い問題です。ここで出てきたキーワードについて分からない所はテキストで確認し、理解を深めることをお勧めします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。この単元においても暗記が重要な部分が多くあります。一方で大学で有機化学や分析化学を学んでいる方であれば勉強をしなくても分かる問題が複数あると思います。

もしどこから勉強すればよいか分からない方は先ず上記のように過去問を確認して自分のの現在位置を知り、過去問を活用して効率良く勉強をしてみてください。

皆さんが合格されることを祈っています。

カイリン

以下、私の臭いに関する勉強ができるおすすめの一冊です。最新の研究が学べます。

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