まさに一世を風靡したAKB48。これはアイドルを対象としたビジネスの成功例。なぜAKBが売れたのか。その理由を紹介します。
「人を売るビジネス」には三つの課題がある
「人を売る」と聞くと何かいかがわしい気がしますが、全然そんなことはありません。いわゆる芸能界、タレントビジネスのことを指します。
タレント、芸能人というのは人そのものを商品として販売し、その個性や特異性で勝負するビジネスがタレントビジネスです。
例えばお笑い芸人というのも、「人」を商品として営業し、ステージに上がっていますよね。
そのビジネスをマネジメントするということは、当然人材を管理運用をするわけだが、それには大きく三つの課題があります。
課題① 成功の不確実性
先ず一つ目の課題は「成功の不確実性」である。言い換えれば、「どの人材が売れるか分からない」ということです。
例えば才能が高そうなタレントをスカウトし、お金と時間をかけて育成し、宣伝をたくさんかけたとしても売れるかどうかわからないという現実があります。
ちなみにこれはコンテンツビジネス、例えば映画でも同じことが言えます。めちゃめちゃお金をかけた映画であっても全然ヒットしないなんてことはよくありますよね。
昔、「スターウォーズ 新たなる希望」という映画が初めて世の中に出た時、もともとこの映画がヒットするとは誰も思っていなかったそうです。だけど空前の大ヒット。2000年を過ぎてもまだ、人気があります。
事前に成功するかわからない。これはこのビジネスモデルにおいて重要な課題です。
課題② 稼働率の限界
二つ目の課題は「稼働率の限界」です。これも言い換えると、「商品は生身の人間」ということです。
いくつかのタレントの中で人気が出るタレントが出てくるとは思いますが、タレントが稼働できるのは人間の労働時間と同じです。
いくら仕事が入ってきたとしても仕事ができる人間が一人だけであればせっかく仕事があってもこなせません。
よく昔のアイドルが分刻みで仕事をこなしていたという話はまさにこの部分が影響しているのではと思います。
もちろん今の時代であれば動画、音声など一度収録してしまえばもう稼働時間が発生しないものもあるが、やはり最初に時間はかかります。
課題③ 交渉主導権の逆転
三つ目の課題は「交渉主導権の逆転」です。
よくちまたでは芸能事務所から独立する芸能人がいますよね。
その中でこの課題の影響があった人もいるのではと思います。
売れ始めると徐々に商品であるタレントの方が力を持ち始めます。
このように課題が多く山積するビジネス。
それが「人を売るビジネス」です。
プラットフォームビジネス~AKB48方式~
このタレントビジネスで非常に大ヒットしたモデルがAKB48方式です。それがプラットフォームビジネスです。
言い換えればこれは複数のタレントを包括する「システム」、すなわち「プラットフォーム」を作り、そのシステムごとまとめて売ろうというものです。つまり、人材をまとめ売りするということですね。
このビジネスで成功しているのがAKB48グループです。
この方法を用いると三つの課題が解消できます。
「成功の不確実性」・・・グループでまとめてタレントを売り出すことで誰かは当たるため、リスクが軽減できる
「稼働率の限界」・・・人ではなく「AKB48」として仕事を受けた場合、人が限定されないため、仕事を分散できる
「交渉主導権の逆転」・・・これも同様に「AKB48」という看板にぶら下がるメンバーも多くいるため、単独で売り出すより問題になりにくい
このように非常に理のかなったビジネスモデルを構築し、それが功を奏し、大ヒットしたのがAKB48だったということです。
最近でも多くのアイドルグループがでてきていますが直近ではそのグループのオーディションの様子などをTVで報道し、ストーリーを視聴者に共感させることでデビュー前にファンを増やすといった手法も多く行われています。
これを最初にやったのは「モーニング娘」です。
どんなビジネスでも成功するためにはビジネスモデルが必要ですでという話でした。